ミュージシャンやバンドのアーティストとして、あるいはボーカリストとしてデビューを目指す人にとって、オーディションというものは音楽業界入りの登竜門となっています。
オーディションについては、最近ではインターネット上でも多くの情報を得ることができますが、そこには数々のオーディション情報とともに応募要項が記載されています。
音楽業界のオーディションの場合は、デモテープの提出が必須となっている場合が多く、そのデモテープの音源で1次の審査が行われます。
オーディションに提出するデモテープは、審査する側からの要望に沿った形で作製しましょう。曲数や1曲あたりの時間などが決められている場合もあるので、募集要項の決まりはしっかりと確認しておく必要があります。
審査員は膨大な数のデモテープを1つ1つ審査していくわけですが、この時点で規定に沿っていないものは聴いてもらうことさえできません。デモテープは、聴いてくれる人への気遣いが大切なのです。自己満足に終始してしまわないように注意しましょう。
とにかく1曲フルで聴いてもらえるという可能性は低いものと考え、曲の始まりからの掴みを大事にしましょう。具体的には最初の20秒から30秒ほどで、勝負が決まってしまうといっても過言ではありません。20秒ほど聴いて良し悪しが判断されるということは、デモテープのできが合否を左右するということです。
デモテープを作製する上で注意したいポイントはいくつもあります。審査員はデモテープから、歌のうまさだけでなく音楽的なセンスも感じ取り、審査しています。
そういう意味では選曲も、重要な要素です。歌う曲は自分のオリジナルな魅力をアピールできるような曲を選ぶようにしましょう。
いくら好きな曲であってもキーが合っていなかったり、自分の雰囲気や声質に合っていなければ、アピール力は低く、人を惹きつけることはできません。
ですから、自分が歌いこなすことができるという基準で曲を選ぶべきです。また、自分らしく歌えているかどうかも審査のポイントとなります。歌唱力があるということはもちろん大切ですが、単に歌がうまい人というのは大勢います。上手か否かというよりもその曲を自分なりに理解し、解釈して歌えているかどうかということが重要なのです。
つまり自分のオリジナリティをデモテープに通して伝えることが大切なので、本物のアーティストの物まねにならないように気をつけなければなりません。
以上のことをふまえてもなかなか1曲に絞れないようでしたら、その中でもイントロの一番短い曲を選ぶとよいでしょう。また、複数曲を送る場合は、アップテンポな曲とバラード曲というように、タイプの違う曲を組み合わせて入れると審査員の判断材料が増えるのでおすすめです。
デモテープの録音については、ボーカリストかバンドかということでその方法は変わってきます。ボーカリストの場合は、カラオケボックスでの録音がおすすめです。
最近のカラオケ機器には録音機能が搭載されているため、カラオケボックスでも簡単にデモテープを作製することが可能です。録音状態は音響などちょっとしたことで変わってしまうため、自分の部屋などでの録音は避けた方が無難です。
自室で審査してもらえるクオリティのデモテープを作ることは難しいでしょう。ボリュームが小さ過ぎて、雑音が激しいデモテープでは、聴くのが苦痛になってしまいます。
心地よく聴いてもらえるような配慮も必要です。バンドの場合は、普段使用している練習スタジオで録音することができるほか、一般の人でも使用できるレコーディングスタジオでの録音も高いクオリティのデモテープが作製できます。
レコーディングスタジオでは、音源の細かい編集ができるのでさらにクオリティの高いデモテープを作製することができます。
このような段階を経て、デモテープが完成したら、いよいよ応募です。応募する前には、CDRなどのメディアにしっかり録音されているかをチェックし、エラーのないようにしましょう。